最終更新日2024年4月28日
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大学入試系統地理問題



使われている統計には古いものもあります。新しい統計を調べてみてください。

出てくる地名でわからないものは、かならず地図帳などで確認してみてください。




地域紛争ほか

次の設問に答えよ(センター試験 改)。

地域紛争ほか

問1 民族の文化的・歴史的背景の違いが、時として紛争に結びつくことがある。次のカ〜クの文は、上図中のA〜Cのいずれかにおける地域紛争を説明したものである。A〜Cにあてはまるカ〜クを答えよ。

カ 1948年に建国を宣言した民族と、これに反対する周辺諸国との間で、紛争が起きている。
キ ヒンドゥー教徒であるタミル人と、仏教徒であるシンハリ(シンハラ)人との間で、紛争が起きた。
ク ムスリム(イスラーム教徒)を中心とした民族が独立運動を起こし、紛争を経て独立に至った。

問2 言語・宗教・民族などの歴史や動向について述べた文として( )の部分が最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。

@ 北アイルランドでは、人口の6割を占める(多数派のプロテスタントと少数派の東方正教徒の間の対立が続いている)。
A 旧ソ連地域では、連邦解体後に民族を単位とした多くの(共和国が独立したため、旧ソ連時代の民族問題は解決した)。
B ブラジルでは、多様な人種の間にも均質な文化がみられ、(国民のほぼすべてが日常生活でスペイン語を使っている)。
C カナダのケベック州では、古くからフランス系住民が住んでおり、(連邦政府からの分離独立運動がみられる)。

問3 世界各地で発生してきた国家の独立や自治権拡大を求める運動について述べた文として最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。

@ 北アイルランドでは、少数派のプロテスタントが、カトリックの多いイギリスからの分離とアイルランドへの帰属を求める動きがある。
A 華人の割合が高いシンガポールは、マレー系住民の割合が高いインドネシアから分離して独立した。
B ヒンズー教徒が多数を占めるバングラデシュは、イスラーム教徒が多いパキスタンから独立した。
C フランスとスペインの国境地帯にまたがるバスク地方には、独立国家の建設や自治権拡大を求める動きがある。

答え
問1 A ク  B カ  C ク
問2 C
問3 C

解説
問1
 Aはバルカン半島中部のコソボ付近を示している。コソボは、かつてセルビア共和国の自治州であったが、イスラーム教徒のアルバニア人が大半を占め、セルビアとの武力衝突を経て、2008年に独立した、従って、クが当てはまる。
 Bはイスラエル付近を示している。1948年のユダヤ人によるイスラエル建国以来、イスラエルと周辺のアラブ諸国との間で、4度の中東戦争をはじめとする対立が現在も続いている。従って、カが当てはまる。
 Cはスリランカの北部を示している。スリランカには多数派で仏教徒であるシンハリ人中心の政府と、少数派でヒンドゥー教徒のタミル人勢力との対立がある。従って、キが当てはまる。
問2
@は不適。東方正教徒ではなくカトリック教徒。約4割を占めるカトリック教徒の一部が、アイルランドへの帰属を求めて武力闘争を実行し、いわゆる北アイルランド紛争が起きた。
Aは不適。ロシア連邦は多くの少数民族を国内に抱えており、ロシアからの分離独立を目指すチェチェン人によるチェチェン紛争などが起きている。
Bは不適。ブラジルはポルトガル語が公用語である。その他のラテンアメリカの多くの国はスペイン語を公用語としているので、ブラジルは異色である。
Cは適当。住民の多くがフランス系でフランス語が公用語となっているケベック州では、カナダからの分離独立運動が起き、住民投票も行われた。
問3
@は不適。「少数派のプロテスタント」「カトリックの多いイギリス」は誤り。
Aは不適。「インドネシアから分離して独立」は誤り。シンガポールはマレーシアから分離独立した。
Bは不適。「ヒンズー教徒が多数を占める」は誤り。バングラデシュはイスラーム教徒の多い国である。1971年に東パキスタンがバングラデシュとして独立した。
Cは適当。バスク人は独自の言語系統を持つバスク語をもつ少数民族で、スペインやフランスからの独立や自治権の拡大を求めている。



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