最終更新日2023年4月27日
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株売買の名言・格言



コロナ禍の社会をへて、家に閉じこもる若者が多くなりました。
そのような若者のあいだで、株の売買に手を出す人が増えています。
ただ、株の売買は90%の人が失敗するといわれる苛酷な世界です。
そのため、株の売買をこころしておこなうために、さまざまな名言・格言があります。
そこで、ここではそれらをおりにふれて紹介し、株の売買の一助になればとおもいます。
出典は長年にわたり株の売買を手がけている多くのトレーダーのことばから引用しています。


株取引

●騰落レシオは嘘をつかない
 日経平均とプライム市場の騰落レシオはともに146%台に達している(2023年4月25日現在)。「騰落レシオは嘘をつかない」という。騰落レシオが140%を越えた水準は天井圏であり、強気相場の余熱で上値指向を維持してもトレンドが反転するまでにそう時間はかからない。市場関係者は強気が多く、前日(24日)あたりは「ようやく主力銘柄が買える相場になった」と弾んだ声も聞かれたのだが、これは感覚的に的を外している印象を受ける。楽観に傾くには危険なタイミングである(2023年4月27日)。

●動意含みの低PBR銘柄
 個別株物色の流れをみると、低PBR銘柄が改めて動意含みにある。PBRが1倍を下回った水準が常態化している企業については、東証が改善要請を強くおこなっているところであり、企業価値向上に向けて経営する側が腐心する必要が迫られている。
 その際、分母である純資産を小さくすることでPBRは上昇傾向となるため、有配企業であれば増配もしくは自社株買いなど株主還元を高めるといった手段が手っ取り早い。しかし、元来は企業活動として利益水準を高めることが最善であり、この場合は分子に当たる株価を上昇させることがPBRを引きあげることになる。いずれにしても、投資家にとって尻に火がついた状態の低PBR株は魅力的な存在となる(2023年4月5日)。

●今年も「彼岸底」か?
 日本株のアノマリー(経験則)である「3月彼岸底」が意識されている。コロナショックの2020年も、ロシアによるウクライナ侵攻のあった2022年も、3月に急落して下値をつけた。米国発の金融システム不安から、今年も3月16日の2万6632円が調整の終焉(底値)になってもおかしくはない。
 さて、これで日本の株式市場が底入れしたかどうかである。その見分け方は、平時なら材料30%、チャート30%、構想力30%といわれる。しかし、天井・底入れの際にはチャート60%、材料10%、決断力30%だという。
 チャートでいえば、75日移動平均線が注目されている。たとえば、今年は年初来から、明確に75日線を上まわれば買い転換となっている。いまのところ日経平均株価は同線を上まわって攻防が続いているが、4月にかけて決着がつくであろう(2023年3月27日)。

●麦わら帽子は冬に買え
 株価は実勢の経済や企業業績よりも、半年程度先を見据えるということに留意しておく必要がある。3月期決算企業でいえば、第3四半期を通過したことで、すでに視点は23年3月期ではなく、24年3月期の収益シナリオをイメージして有望株を探す動きが強まる可能性が高い。そこでいま、市場関係者のあいだでは、現在、株価が調整期にある半導体関連企業を有望株としてあげるものが多い。国策によって潤沢に資金が投入されていることも、そのひとつの理由となっている(2023年2月22日)。

●理外の理、少数派が勝ち多数派が負ける
 1月6日にNYダウは700ドル高と急反発した。米雇用統計でインフレ鈍化が示唆され、米金利引き締めの長期化懸念が後退したことにより買いが広がった。この上昇に対して、市場の行き過ぎだ、過剰反応ではないかとの声も聞かれた。しかし、そうした見方こそ誤りだ。株価が間違っているなら、直ちに修正が入るのが株式市場だ。しかし、その後も株価は堅調だ。
 これに驚いたのが、新年の見通しで「年前半安、後半高」と主張していた市場関係者やアナリスト達だ。株価は理屈が正しくても、必ずしもその通りに動くものではない。理屈通りに動くのならば、こんなに易しいものはない。時にその枠を外れ、いわゆる「理外の理」相場があらわれる。
 おそらく、多くの市場関係者、アナリスト達が宗旨替えを進めることだろう。そして、いずれ圧倒的に強気が増える局面に至るとすれば、そこが天井となるのだ。株価の天や底は理論では絶対に判断できないこと、これが相場の歴史だ。ある相場師曰く「少数派が勝ち、多数派が負ける」と、名言である(2023年1月15日)。

●2023年の相場は?
 2023年の相場はどう推移するであろうか。東京市場の下落要因となりやすい米国市場、なかでも代表的な指数であるS&P500指数の動きを踏まえると、今年の米国市場は回復する確率が高くなる。
 S&P500は昨年19.4%下げた。日経平均株価が9.4%の下げだったので、その倍以上も下げたことになる。こんなことは滅多にないことである。しかも、1957年以降、S&P500の年足が20%以上下げたことは3回しかなく、昨年の−19.4%を入れても4回となる。そして、過去3回では、1回目の1974年の翌年は+31.5%、2回目の2002年の翌年は+26.4%、3回目の2008年の翌年は+23.4%となる。
 つまり、いずれも前年からの大幅な下げからかなり戻したことになる。2023年が最悪マイナスになったとしても下げ幅は小さく、市場は回復基調で推移する可能性が高い。それが、日経平均株価を支える役割を果たしてくれる。2023年相場はこのような視点からながめるのはどうであろうか(2023年1月9日)。

●株は後出しジャンケンでよい
 米国雇用統計等々やFOMC(米連邦公開市場委員会)開催と、米国の各種経済指標やイベントで様々な数値が明らかになるなか、常にその数値を意識せざるを得ない日常が続いている。本来なら事前に予想しなければならないのだが、それは至難なうえ、指数の変化に対する市場=投資家の反応は驚くほど大きい。そのため、結局は数値が明らかになるのを待つほかない。こうなるので、「株は後出しジャンケンでよい」と常々主張している。
 ただ、「後出しジャンケン」でよいが、そのための銘柄は事前に選んでおきたい。どんな銘柄を選ぶか、収益力に問題はないのに、米国の各種指標やイベントの影響で、大きく売り込まれかねない銘柄になる。どんなに体力があっても、いきなり突風に見舞われれば誰でもよろめいてしまう。しかし、突風が収まれば、また普通に歩いたり、走ったりできるようになる(2022年12月13日)。

●バフェット式投資法
 世界的に著名な投資家であるバフェット氏のいわゆるバフェット式の投資法では、選定される銘柄には次のような基準がある。
 ・ブランド(知名度)が高い
 ・製品、サービスの需要がコンスタントにあり続ける
 ・価格決定力を持っていて、必要な時に値上げできる
 ・株価が高値から大きく下げている
 このような視点から、最近、バフェット氏は半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)やエネルギー企業のシェブロンに投資している(2022年11月22日)。

●S&P500、23%下落が意味するもの
 アメリカ市場の代表的な株価指標というと、一般にはNYダウということになるが、S&P500を挙げる人も多い。NYダウがわずか30銘柄で構成された指標であるのに対し、S&P500はアメリカ市場に上場されている主要500銘柄で構成されている。当然、S&P500の方がアメリカ市場の実際の動きがよく分かる。
 こんな指標であるS&P500が前年末比で23%も下落している。通常、指数が下げた場合、マイナス20%までは調整の範囲になる。しかし、20%を超えると「異常な下げ」と認識せざるを得ない。1957年以降のS&P500指数が年間20%を超えて下落したのは、今回(このまま下げたとして)を含めて4回しかない。この点で今回の23%下落はきわめて稀というほかない。ちなみに、20%以上の下落した場合、翌年に反発したのは3回(1975年、2003年、2009年)、続落したのはゼロとなる。今回がどちらになるのかは予測できないが、来年は金利上昇がピーク打ちする可能性が高いため、反発するのではないか。
 以上を踏まえると、現在は低迷中もしくは調整中の銘柄の多くは浮上に転じる可能性が高い(2022年10月24日)。

●不安がまん延し、安い時に買うのが、株式投資の鉄則
 ロシアのウクライナ侵攻が続き、中国による台湾有事への警戒感もくすぶっている。世界的なインフレ、世界経済の減速、地政学的リスクという逆風のなかで、株式投資を行うことは容易ではない。
 しかし、見方を変えれば、こうした環境下にあるからこそ全体株価が大幅に安くなっているということだ。株価は安いところで買うのがセオリーで、その安値買いのチャンスが今うまれている。もちろん、「落ちてくるナイフはつかむな」という相場格言の通り、主力銘柄の底入れのタイミングに確信が持てない以上、むやみに資金を投下するのは危険である。であれば、発想を変えて「これ以上落ちてこないようなナイフ」に目を向ければよい。その場合は、株価指標面から特にPBR(株価純資産倍率)で超割安圏にあるディーブバリュー株が有力な投資対象となる。割安過ぎる株をさらに売り込むというのはよほど力のいる作業で、逆転の発想でそういう銘柄を拾うのは投資作戦的に有効となる。
 PBRが1倍を大きく下回る銘柄は、言い換えれば会社の解散価値を大きく下回る水準に置かれていることを意味する。理論的には、企業の全株式を買い占め傘下に収めた後、そのまま会社を解散させても当該企業が保有する純資産だけでお釣りがくるというのが、PBR1倍割れの定義である(2022年10月3日)。

●一つの籠にすべてを盛るな
 相場では「一つの籠にすべてを盛る」ことは厳禁とされている。ピンポイントで魅力的な銘柄を見つけても、それは思いこみである場合も少なくない。むしろ、意中の銘柄ほど思惑通りには動いてくれないケースが多い。自分の目を信じるのではなく、投資対象を分散して可能性を広げておく方が賢明である。これには資金的な分散と時間的な分散の2つがあるがコンセプトは一緒である(2022年8月19日)。

●「落ちてくるナイフはつかむな」というけれど
 「落ちてくるナイフはつかむな」という有名な格言があるが、言うほど簡単な話ではない。地面に刺さってから拾いに行く場合でも、刺さったままジッとしていてくれればいいが、そう都合よくはいかないのが相場の常だ。刺さったと思った瞬間、ゴム毬のようにリバウンドしてしまうのが現実であり、それをつかんでよいのか、はたと当惑してしまう。こうした時の一つの手段としては、好業績・割安・足の速い銘柄に照準を合わせるという選択肢がある。全体相場のボラティリティに負けることなく、なおかつ実態面へのアプローチから下値に対する保険をかける狙いで有効なケースが多い。
 例えば、総合プラント工事会社の高田工業所<1966>。PER4倍前後・PBRは0.4倍台と超割安圏にあり、23年3月期は14%増収、69%営業増益を見込んでいる。時価総額100億円未満の小型株で上にも下にも足が速い。同社株は6月17日に形成した下ヒゲが、いわゆる地面に刺さったナイフにも見える。また、仮にここから再び下押ししたとしても超割安な株価指標をよりどころにブレーキがかかりやすい(2022年6月22日)。

●FRBが手綱を緩めた時がチャンス
 中期波動は日米ともに下向きであり、これが上向きに変わるタイミングを探すとするならば、FRBの金融政策スタンスに着目しておくことである。経済のオーバーキルを避けるため、いずれある程度のインフレを許容しても、FRBは引き締め姿勢を緩める。これが次のトレンド転換のシグナルとなる。
 FRBは現在きわめてむずかしい舵取りを強いられている。米経済の軟着陸は可能という見解をパウエル議長は示しているが、行き過ぎた過剰流動性によって米経済は加速した状態にあり、今は左右どちらにハンドルを切っても、ドリフトして壁に激突してしまうようなリスキーな局面にある。とりあえずはインフレ抑止を優先し、給与所得の伸び率が、物価値上げの伸び率を上まわっているうちに何とかしたいという思惑がかいま見える。
 言い換えれば、期待インフレ率を引き下げるために、株式市場の逆資産効果を利用することもいとわない。しかし、当然ながら過度の引き締めは本意ではなく、ある程度までインフレの抑止が効果をあげれば、柔軟に政策スタンスを変える用意もあるはずだ。投資家の側にとっては、このターニングポイントすなわちFRBが逆方向にハンドルを切り返すタイミングをしっかり見きわめることが、長期ポジションを組むうえでの要諦となる。
 それまでは、下落した時には買い、上昇した時には即座に売るといった、こまめな逆張り投資が有効となる(2022年5月9日)。

●厚い節目の52週移動平均線、様子見も相場
 今、株価が調整を2週間以上続けていることで、「何か買いたい」と思う投資家が少なくない。4月8日現在の信用買い残は押し目買いにより再び3兆円を回復した。しかし、評価損率は−12.70%と悪化傾向にある。早急に2万8000円を回復しないと、3兆円の信用買い残が需給のシコリとなる懸念が強まりかねない。
 しかし、地政学的リスク、インフレ懸念、日本はトリプル安(株安・円安・債券安)と難題山積みの折、いま日経平均株価は中途半端な水準にあるといえる。厚い節目の52週移動平均線(14日時点2万8275円)を突破するか、あるいは大きく下げるか、そのどちらかに振れるまでは無理をせず「様子見も相場」と割り切ることも大事である(2022年4月18日)。

●株価は将来性の反映である
 日経平均株価は3月9日の2万4717円(終値)を安値に急反発、その後、あっという間に2万8000円まで3000円超も上昇した。多くの投資家はこの上昇を想定外と表現している。たしかに、これまでと市場を巡る環境がそれほど大きく変わったわけではない。大きく売り越してきた海外筋が3週間で1兆円超の先物の買い越しをみせたといい、3月期末の配当取りを狙った買いや、機関投資家による配当再投資に絡んだ先物買いなどといった需給の好転が伝えられている。
 しかし、こうした事実究明も大切だが、もっとも大事なことは「なぜ、3000円も上がったのか」だ。戦後の不世出の株式評論家の木佐森吉太郎氏は、「株価は将来性の反映」であると断じている。想定外の上昇と思った投資家は、少なくとも「想定外」の部分は下がる可能性があるとみて売りに動いているだろう。
 だが、3000円幅の上昇を「将来の反映」とみれば、半年後、1年後には全く考えもつかないような何か大きな材料が待ち受けているかもしれないのだ。心ある投資家はそれを念頭に、日々のささいな材料から半年後、1年後の景色を描いていく努力を怠ってはならない(2022年4月4日)。

●順張りで物色するなら
 今年後半は波乱含みであるから、1〜6月の「前半勝負」と主張している。正直、後半の7〜12月は読みづらい。欧米および日本の金融政策に加え、地政学上のリスク(ウクライナ、台湾海峡、中東情勢)が高まる可能性がある。政治は日本以外、不安定だ。景気はパンデミックの再来によって、下ブレするだろう。
 物色面はどうか。流動性を加味し、売買代金ランキング上位、かつ昨年9月14日の日経平均株価の戻り高値(ザラバ3万0795円)時よりも株価が上位に位置する順張りパターンの銘柄に妙味があろう(2022年1月18日)。

●全体波乱相場では、逆張りで対処
 個別株では逆張りに徹し、テーマに乗る銘柄で全体波乱相場に流され、急落している銘柄を拾っていくのが個人投資家の基本戦略となる。
 ただ、その際に高PER銘柄は避けておくのが無難であろう。なぜか。金利上昇局面でハイテク系のグロース株が売られ、円安で自動車株が買われ、原油高で資源関連や総合商社株が買われるというように、半ば定石化されたような資金の流れが形成されてしまうと、どうしてそうなるのか理屈では簡単に説明出来ないが、こうした流れにあらがうのはあまり得策ではない。
 つまり、PERやPBRに割高感がなく、テーマ性や成長力を内包している、一言でいえば、「割高ではない株」で、株価が大きくディスカウントされたものを対象とするのが賢明である(2022年1月8日)。

●「寅、千里を走る」というが
 2022年は寅年、古来から「寅、千里を走る」というが、1949年以来の寅年の上昇率は2%程度。十二支の中では、上昇率は下から3番目である。ただ、翌年の卯年は16%、その次の辰年は28%上昇している。2022年は、安値があれば絶好の拾い場との見方もできそうだ(2022年1月1日)。

●2022年の相場はどう動くか
 世界的なインフレ懸念とはだいぶ温度差があるとはいえ、日本国内でも食品などを中心に製品値上げが相次ぐようになってきた。来年は米国を主戦場に、否応なくインフレ警戒=金融引き締めのステージと株式市場がどう対峙するかがポイントとなっていく。
 経済正常化の過程と金融正常化の過程が同時進行することで、株式市場への影響はフラットとなるのか、
 それとも企業のバリュエーション面の割安さを拠りどころに株価上昇圧力が勝るのか、
 他方、過剰流動性がコロナ禍で急激に増加した反動局面に入っていることを考慮すれば、アフターコロナの時間軸ではむしろ下値リスクにそなえなければならないのか、
注意深く、見ていかなければならない(2021年12月29日)。

●「20日前後に調整」のアノマリー(経験則)
 今年の日経平均株価を見ると、毎月20日前後に急落している。例えば、3月19日の終値は424円安、同22日が617円安、4月20日は584円安、5月19日は362円安、6月21日は953円安、7月19日は350円安、同20日が264円安、8月19日は304円安、同20日が267円安、9月21日は660円安。そして、10月21日が546円安だ。
 日経平均株価には月末の下落アノマリー(経験則)があるが、先物やETF(上場投資信託)を経由するファンド筋が毎月20日頃と月末にポジション清算に伴い機械的に売却を行っている可能性がある。しかし、それは一時的なもので、調整を入れた後には買い再開により日経平均株価が上昇するケースも少なくない(2021年10月24日)。

●解散・総選挙に向けては買い
 10月21日の衆議院議員任期満了が近づくなか、「解散・総選挙に向けては買い」という株高アノマリー(経験則)の存在が大きい。
 過去のアノマリーとして、衆議院解散日から投票日にかけては日経平均が上昇するというパターンが多く観測されている。また、今回のように与党の支持率が大きく低下している時は、求心力回復のために大胆な経済対策が出されるのではとの期待も高まる。
 総選挙は、9月29日に予定されている自民党総裁選挙の投開票日以降になるだろうが、それまではアノマリーを意識した動きや、政策期待などで株高基調となりそうだ(2021年9月6日)。

●引かれ腰は弱く、利食い腰は強く
 江戸時代から伝わる相場格言で「引かれ腰は弱く、利食い腰は強く」という言葉がある。
 例えば、投資している株が思惑を外して買い値を下回ってしまい含み損を抱えてしまった時、人間心理として少し置いておけば切り返すだろうからその時まで「待つ」という選択肢を採りやすい。しかし、俗に言う"ヤレヤレ売り"を目指した時点で、既に勝負には負けてしまっている。そして、先延ばしにするほど傷は深くなるケースが多い。含み損を抱えたら、悶々とする時間そのものが敵となりやすく、早めに処分するのが正しい選択肢となる。
 一方、狙い通りに買った株が首尾よく上昇した場合はどうか。強力な買いの根拠があったにもかかわらず、買い値を5%でも上回ればさっさと回収(キャッシュ化)してしまう。"利食い千人力"という言葉もあるだけに、これはこれで基本的に間違いとはいえないが、利が乗っている時こそ余裕を持つことが大事で、時間を味方につけるチャンスとなる。自分なりに十分利益を確保したと満足できるところまで資金を寝かしておけるかどうか、これが蛮勇ではない本当の勇気ともいえる。
 ところが実際は真逆で、人間の欲望は引かれ腰を強くし、利食い腰を弱い方向へと誘導してしまう(2021年7月8日)。

●株式市場のインフレ警戒感は本物か
 日経平均株価は引き続き膠着状態にあり、2万9000円の突破に苦労している。2万9000円台に一瞬乗るのだが、すぐに押し返されてしまう。5月28日の戻り高値2万9149円(終値ベース)から早くも10日間が経過。この間、2万8500円〜2万9300円処の狭いレンジに閉ざされている、結果として、徐々に売買高は細り、閑古鳥がなく始末だ。
 思うにいまネット証券の売買高の80〜90%はデイトレーダーによるものと報じられている。だとすると、2〜4月の買い玉がしこったままで、2万9300円処まで戻れば投げてくるのであろう。その結果、6月相場はいまのところ、月初から保ち合い状態となっている。
 では、NYダウはどうか。高値保ち合いとなっており、日経平均株価は同指数に連動している形だ。ところで、NYダウは、少々理解しがたい動きになっている。インフレ懸念で米10年債利回りが上昇していた時の方が株価は上昇していたのだ。ところが、最近はインフレ懸念が後退。一時1.7%台に乗っていた10年債利回りは、1.4%台に低下している。その過程でNYダウは横ばいの動きを続け、それに歩調を合わせて日経平均株価も類似の動きになったことになる。
 これは、市場がインフレ懸念を歓迎しているとまではいかないだろうが、決して嫌がっていなかったということになる。市場の最近のコンセンサスは、「インフレ懸念で長期債利回りが上昇し、FRBはテーパリングを早める、これでは株は買えない。」だった。しかし、市場の実際の動きは、テーパリングを歓迎はしないだろうが、緩やかなインフレと長期債利回りの上昇は歓迎、こうなっていると見るのが自然だ。
 実際、緩やかなインフレは経済にプラスに働く。日本経済の成長が止まっているのも、いまだにデフレから抜け出せないことによるものだ。そのため、デフレにとどまるような材料が出てくると、日経平均株価も上がれなくなる。今はこんな図式の中にある(2021年6月14日)。

●商品価格と株価の相関性
 きょうの業種別騰落で値上がり率トップは食料品だった。ディフェンシブストックとしての切り口ではなく、穀物市況高騰を背景とした価格転嫁の流れが意識されている。これは本来、コスト上昇の転嫁であって儲けの意味合いはないはずだが、大抵は値上げの動きが出てくると当該株は上昇するケースが多い。
 食品セクターに限らず、デフレマインドに逆行するような動きが株式市場では心地よいというところがある。原油市況が上昇すれば石油元売り会社が買われ、ビットコイン価格が急騰すれば、仮想通貨交換所を運営しているような会社はもちろん、暗号資産(デジタル通貨)にノウハウがあるだけで買われる。これは、理屈以前に相場の不文律といえる(2021年6月5日)。

●友なきほうへ行け
 「友なきほうへ行け」という相場格言がある。人と同じ方向に視線を合わせていても、そこに果実は落ちていないというのが投資の本質である。しかし、今の株式市場はある意味"気迷い相場の極致"といってもよく、どちらに行ったら友が多いのか少ないのかも分からないような状態だ。基本は様子見の時間帯であり、自らに都合の良いシナリオで安易に投資の方向性を決めてはならないという場面である。ただ、個別株は機動的な売買を念頭に置いて、引き続きキャッシュポジションの高めを維持することを心掛けたい(2021年5月21日)。

●Sell in May
 株売買のアノマリー(経験則)や投資名言に詳しい人は、「Sell in May」、つまり「5月に株を売れ」を意識するだろう。ただ、この名言には続きがあって「10月になったら戻って来い」となる。
 しかし、この名言どおりにわざわざ5月に株を売らなくてもよい場合が多い。特に東京市場では6月のボーナスの支給にむけて、その資金を獲得すべく「株高」の演出に証券会社が尽力するからだ。例年だと7〜8月はバカンスを控えて外国人投資家の利益確定売りが出るほか、日本も夏休み・お盆シーズン入りで多くの投資家が休みに入るため売買減となり、株価は軟調となる。ただ、今年はコロナ禍のまっただ中、どうなるかわからない(2021年5月10日)。

●決算発表後の戦略
 長引くコロナ禍は、企業業績に悪影響を及ぼしている。ここに来るまで期待先行で業績向上を株価に織り込んできたため、今年の決算発表シーズンの株価動向に異変が生じている。いつもであれば、好決算が期待される銘柄については先取り買いが活発化するが、今シーズンについてはそうした動きがほとんどみられない。
 決算発表では、市場予測を下回る銘柄が多い。その理由は簡単だ。通期の収益計画を立てるこの時期に、コロナ禍が不透明感を増したため、先行きに対して企業が保守的にならざるを得ないのである。最初から、いい数字が期待できないのであれば、先取り買いなどできようはずもない。
 だが、時間の経過とともに話は変わりそうだ。業績見通しについて最初は保守的でも、時間が経つにつれて上方修正の期待が膨らんでくる。となると、現実に好調な予想を示しながら、市場予測を下回ったという理由で売られた銘柄は買いという結論を導くことができる。第1四半期決算を発表する夏ごろには、相場の景色は変わっているかもしれない。その頃にはワクチン接種も進行し、日米のワクチン格差が売り材料でなくなる可能性もある。日経平均が年初来高値を付けたのは2月。期日迎えなどで、タイミング的にも7〜8月はラリーが期待できよう。それまで株価がもたつく場面があれば拾い、サマーラリーに乗るのが今年中盤の戦略となりそうだ(2021年5月5日)。

●本決算期を迎えて
 これから企業の決算発表が本格化する。3月決算企業については今回は本決算ということで2022年3月期の業績予想を開示することになり、事前の期待が高い銘柄ほど株価にはマイナス方向にみられやすい、という難しいタイミングである。
 また、これまで期中の上方修正は基本的に好材料だが、次期の業績予想に対しては発射台が高くなることで逆に不利となる。3月決算企業に先立って決算を発表した安川電機は、2022年2月期の営業利益が55%増益予想でも、市場関係者が首をかしげるほど売り込まれた。信用取引でのつなぎ売りなどせずに、決算をまたいで株式を保有するのは、たとえ好決算企業でもリスクがあることを印象づけた(2021年4月24日)。

●新年度の相場入り
 新年度の相場入りともなれば期末のリバランス売りや企業の政策保有株の売却が一巡する一方、新規資金の流入により需給が改善し一段高との強気の見方がいままでは大勢であったが、ここにきてどうやら需給主導の相場局面にはなりづらい構図が浮かびあがってきた。これまでのような、需給面の改善が相場を押し上げるとの強気の見方は再考が必要か。
 昨年のコロナショック後は、売り方の買い戻しや大幅な裁定売り残の解消に伴う現物買いが相場の押し上げに寄与していた。しかし足もとでは、信用取引の残高を見ると買い残が2年半ぶりの高水準にある一方、売り残は5カ月ぶりの低水準にある。さらに裁定残はネット買い越しに転じており、これが定着しつつある。ここから、少なくとも昨年来の断続的な株価上昇を演出してきた「売り方の買い戻し」の余地は小さくなってきたといえよう。新年度相場入りに伴い需給面が悪いわけではない。それでも、すでに指数が歴史的な高値圏にあることを考えれば、需給面での押し上げ役が一つ欠けたいま、ここ1年間の上昇ペースに見慣れてきてしまった市場関係者にとって、これからの指数上昇ペースは緩慢とならざるを得ないことを頭に入れておく必要がありそうだ。
 また昨年3月からのちょうど1年間が、各国の財政金融政策などによって相場が決まっていた「金融相場」であったのに対して、今後の相場は業績の好転・向上に裏づけられた「業績相場」となっていこう。直近数年の海外投資家の日本株売買動向によると、昨年11月以降からの買い越し分を考慮してもまだ日本株の買い越し余力は2兆円ほどあるとの指摘も聞かれる。この先、好調な実績と見通しが確認された銘柄には断続的な買いが見込まれそうだ(2021年4月12日)。

●押し目買いの目安として活用したい移動平均線・25日線
 株価の移動平均線には5日、25日、26週、52週などがある。しかし、常時見ていて売買のタイミングを計るのに参考となるのは25日線である。
 上昇トレンドに乗っている銘柄が高値から反落した場合、25日線まで下げて反発することが多いからだ。反発しない銘柄もあるが、それはスルーすればよいことだ。反発する銘柄だけを狙えばよいのだから問題はない(2021年3月30日)。

●今、「01(ゼロイチ)」銘柄に注目
 証券コードは基本的に、7200番台が自動車、9100番台が海運というように、業種ごとに証券コードの範囲が決まっている。証券コードが導入された際、各業種の歴史ある名門企業は、日産自動車の7201、日本郵船の9101のように、各区分の中ではじめにコードが設定され、末尾が01となった。こうしたことから、各業種のなかで古い歴史を持つ代表的な企業を指す意味で、証券コードの末尾が01の銘柄群のことを「01銘柄」と呼ぶようになった。
 今、上場の歴史が古く、各業種を代表する銘柄であり、安定性もあり割安株が多いということで、「01銘柄」に注目が集まっている(2021年3月22日)。

●米国10年債利回りの上昇
 東京市場、米国市場、さらには世界各国の市場が米国10年債利回りの上昇問題にゆれている。市場の波乱要因となっている米国10年債利回りが、2月25日につけた1.61%から1.4%前後まで下げたことで市場はいったん落ち着いた。しかし、利回りが再び上昇し、米国時間3月4日には1.57%をつけた。これで、東京市場は大幅下落に。
 株式市場は米国長期債利回りの上昇に弱い。現在、S&P500の利回りは1.5%前後。長期債利回りがこの水準を超えると、株式市場に投じられている資金が債券市場に向かう恐れがあることになる。実際には簡単に資金は移動しないが、機関投資家たちが「どうしようか」と考えはじめることは間違いない。さらに10年債の利回りが1.75〜1.8%に上昇したらどうなるか。ここまで上がると、実際に資金を移し始める。機関投資家たちはそこまで見通して動く。
 さあ、個人投資家はどう対応するか。古来の格言に、嵐のときは動くな、落ちる短剣はつかむな、増水時の川底の金貨は拾うな、などという。じっと嵐が過ぎ去るのを待ち、4月以降新年度の株価上昇を待つ戦略が有効だろう。ただ、これではせっかくのチャンス(押し目買いの好機)を逃す恐れもある。昨年2〜3月がそうでであったように、リスクとリターンは背中合わせだ。日経平均株価は昨年3月19日の1万6358円(ザラバベース)を安値に、今年2月16日には3万714円の高値まで急騰した。上昇率は実に、87.8%となる。理論的にみれば、勇気をふるってリスクを取った人は大成功だったはずだ。ここは市場や銘柄の動きに細心の注意をはらいながら、押し目買いのチャンスには、果敢に買いにむかう。そのためにもキャッシュはあつくしておく(2021年3月9日)。

●日本株売買の季節的経験則(アノマリー)
 まず、6月と12月に「株高」となる。これにはボーナスの支給が大きく関わっており、証券会社をはじめ金融業界はその資金を獲得すべく「株高」の演出に尽力するからだ。
 次は「節分天井、彼岸底」。新年への期待から1月相場は堅調に始まるが、2月初旬の節分の頃になると買い疲れ感が出てきて上値が重くなる。そして、確定申告期間と年度末となる3月にかけて調整しやすくなる。個人投資家は税金資金を捻出するために株を売り、機関投資家は年度末でいったんポジション調整に動く。
 彼岸底の後、4月の新年度入りとともに再び株価は上昇に向かう。年金や投資信託などの機関投資家が新年度予算を背景に買いに動き出し、そして6月高値に向かう。
 しかし、6月高値の後は8月の「お盆」頃まで調整が続きやすい。バカンスを控えて外国人投資家の利益確定売りが出るほか、日本も夏休み・お盆シーズン入りで多くの投資家が休みに入る。
 最後は「秋の調整」。お盆の安値から浮上を始めた相場も、10月頃になると海外勢がヘッジファンドの決算期を控えて売りに動きやすい(45日ルール)。何かのきっかけで下落するとヘッジファンドの売りで振れが大きくなりやすいのが秋相場の特徴だ。
 1年を通して日本株売買にはこのような経験則があり、覚えておくと、売買判断の参考になる(2021年3月1日)。

●日経平均3万円突破が意味するもの
 日経平均で全体相場を考えると、相場の実態を見誤る可能性がある。つまり、ここ最近の日経平均はほとんど一部の値がさ株を使った「作られた指数」であって、相場の実態とは異次元レベルでかけ離れているということがいえる。
 元来、全体指数は投資家の体感温度を示す要素が強いが、今は日経平均の推移を追いかけても投資マインドの強弱は見えてこない。強気で鳴らす市場関係者が、日経平均が3万円大台ラインをあっけなく突破したのみて「さすがに戸惑うとよりない」と本音を漏らした。これは空中戦によって指数だけが押し上げられ、投資家サイドが傍観者になっている現状を代弁したものともいえる(2021年2月19日)。

●相場は3カ月で一思案だ
 これは古い相場格言だ。この格言にしたがえば、そろそろ相場の潮目に変化があらわれるか。株価の日経平均は、昨年11月に本格的に上昇に転じ、それから3カ月が過ぎた。ここから流れの変化があってもおかしくない。ときあたかも、コロナワクチンの接種がはじまる。相場は1年先を見通して動く。1年後の日本社会を想像すれば、当然、脱コロナの世界がみえてくる。それはどんな世界なのか、思いめぐらしながら、相場をながめるのもよいかもしれない(2021年2月9日)。

●決算期間中の株の売買(2)
 決算発表期、多くの企業が決算を発表するが、正直これが実にやっかいだ。なぜか。好業績銘柄でも、決算が発表されると、株価が急落するケースが多いからだ。投資の基本知識では、好業績株は上がるだ。しかし、実際はそうはならないばかりか、決算発表をきっかけにトレンドが下向きに転じてしまう銘柄が多い。自分の持株が上昇を続けて高値圏にあり、業績も順調、何の問題もないと安心しているとガクと下がる。
 こんなことになるのを避けるには、業績好調、株価も順調に上がり続けているような銘柄は決算発表前にひとまず売っておく。信用取引をしている人は、つなぎ売りをしておく。こうするほかに、利益の急減を避ける方法はない。これは言うはやすく、決断するにはなかなか勇気がいる(2021年2月8日)。

●決算期間中の株の売買(1)
 決算期間中の個別株の売買はなかなか難しい。決算発表期間前にすべての株を売却して、ポジションをゼロにする個人投資家もいるくらいだ。好決算先取りの買いで、実際に発表をまたぐのはかなりの確率で逆目を引くことも多い。また、サプライズを伴う決算発表銘柄の翌日、ギャップアップ相場につくのも一つの作戦だが、基本的に避けておくほうが無難だ。鉄は熱いうちに打てというが、個別株戦略はマーケットの視線が集中している時に行くよりも、時間軸をずらし、ある程度熱が放出された後の方が、決算通過後で比較的落ち着いて投資できるため成功しやすい(2021年2月3日)。

●節分天井、彼岸底
 兜町に「節分天井、彼岸底」ということばがある。これは機関投資家の多くが正月第2週頃から本格的に仕込みをはじめ、2月初め〜中旬におえる。これが「節分天井」である。そして、3月の決算に向けて、銘柄の入れ替えや利益確定の売りに走る。法人の売りも出やすい。一方、年度末で買い手は少ない。この結果、株価は下がる。これが「彼岸底」である。コロナ禍でいつもとはちがう相場展開とはいえ、期間にとらわれない個人投資家にとっては、ここはチャンスである。もっとも、機関投資家と個人投資家では売買する銘柄にちがいがあるので、その点は注意が必要(2021年1月26日)。

●もうける時は小幅、損する時は大幅に注意
 証券会社の営業担当者は、売買委託手数料をより多くかせぐために、利益が出ているお客さんに利益確定売りを勧めることが多い。損している状態であれば、お客さんも損失確定の売りは出しにくいが、多少なりとももうかっていると、人間の心理として何となく売りやすい。「明日以降のことはわかりませんよ。一寸先は闇ですから、売れる時に売っておいたほうが安心です」と言われると、あっさり売ってしまい、その結果、小幅の利益でも売ってしまう。逆に損しているお客さんには、営業担当者も売りを勧めにくい。その結果、お客さんは小幅の損では売らずに、大損してから仕方なしに売ることが多い。本当は小幅の利益の時には売らずに、大幅な利益になるまで我慢しなければいけない。逆に大幅な損まで放っておかずに、小幅の損失の時に売っておかなければいけない。従って、もうかっている時にばかり連絡をよこし、損している時は全然連絡をしてこないような営業担当者とはつきあわないほうが良い。もっとも最近は営業担当者を介さないネット証券会社が幅をきかせているが、その分、投資家自身で損益を管理して売買しなければならない(2021年1月25日)。

●災害に売りなし、砲撃が始まったら買え
 「不謹慎」との声もきこえそうだが、最近では「ロックダウンは買い」、さらには「緊急事態宣言の発令は買い」という。なぜか、国策によって潤沢に資金が投入される。国策は基本的に株高誘導である。国策に逆らっては負ける。マスコミのネガティブな情報はさておいて、「兜町の常識は世間の非常識」とわりきって、相場をウォッチングするのも一つの方策である(2021年1月13日)。

●個人投資家の強み
 プロの投資家の弱点が個人投資家の強みである。一定の期間内に利益をあげる必要もなければ、株式投資で職を失うこともない。だから、与えられた資金枠を全額運用するプロの投資家をまねて、個人投資家がわざわざ自らを厳しい条件に追い込んで自分の資金を運用することはない。なるべく有利な条件で気楽に運用すべきである。そうすれば、目一杯勝負をしているプロの投資家よりも、精神的に一歩有利な立場での資産運用が可能となり、良い結果になりやすい。投資名人と言われる人たちは、運用資金の50%以上を投資している人は意外に少なく、大半を現金のままにしていることが多い(2021年1月7日)。

●プロの投資家の弱点
 ここでいうプロの投資家とは機関投資家のファンドマネージャーや証券会社の自己売買部門のディーラーなどをいう。彼らの弱点は期間限定で投資の利益をかせぎださなければならないことである。彼らは利益の目標が明示されており、その目標を達成できなければいつクビになるかわからない。その結果、残り時間と相談しながら、最悪の場合、一番避けなければならない目一杯勝負をしにいかざるを得ない。この「職を失う恐怖感」は個人投資家が体験し得ないことである。この恐怖感が冷静な判断を失わせてしまう。プロもしょせん人間に過ぎないということである(2021年1月6日)。

●2021年の1年間の日経平均株価はどう推移するか
 2020年12月30日の大納会にあと、毎年恒例の2021年の相場展望を各大手証券会社の調査部の責任者がみたてた。彼らに共通しているのは、年明けから日経平均株価は下がりはじめ、時期にずれはあるが、2〜4月に2万3〜4千円の底をつけて、その後、年末にかけて3万円をうかがう、株価の上昇があると予想した。はたしてあたるかどうかはわからないが、株売買の鉄則は安く買って、高く売ることである。ここは予想も頭に入れ、まずはキャッシュをあつくすることを心がけたい。彼らが異口同音に言ったことは、ここは深追いは禁物とのこと(2020年12月31日)。

●株屋殺すに刃物はいらぬ。株価が3日も動かなければいい
 日経平均株価は11月26日以降、わずか400円という狭いレンジの中で21日間も推移していた。このもち合いをさらに精査すると、この期間で2万6800円以上をつけたのは13日もある。しかし、2万7000円をつけたのはザラバといえども一度もない。つまり、2万7000円が上値の大きな壁となっている。この壁を突破できれば3万円に向けてひた走り、突破できなければ失望感から2000〜3000円の下落もある。年末年始の相場で、どちらに方向性をみせるのか、注意が必要だ(2020年12月28日)。

●個人投資家が株の売買に参加するにあたって
 株式市場では、将棋や野球と違って、同じ土俵で機関投資家のファンドマネージャーや証券会社の自己売買部門のディーラーなどのプロと、初心者の個人投資家が対決している。しかも、プロは自分以外の市場参加者が素人であろうがそんなことに関係なく、自分の利益を上げるために全力で売買・取引をしてくる。決して手加減などしない。だから、初心者は、最悪の場合は百戦錬磨のプロにすべての財産をむしり取られてしまう。そのため、個人投資家も最低限の知識やノウハウを身につけてから市場に参加するようにしたい。年末年始の市場が休みの期間はそのためによい機会である。もっとも、株式投資に必勝法は存在しない。もし存在したら誰もが億万長者になれる(2020年12月25日)。

●株を買うなら連休前の月末
 株式投資では、株を買うタイミングが大切だ。経済学者らの研究によると、連休前後は株価が上がりやすい傾向にあるとのこと。具体的には、祝日の数日前から株価が上がりやすくなることが確認されているとのこと。考えられる、大きなチャンスとしては「4月末(ゴールデン・ウィーク前)」と、「12月末(年末年始前)」の2つのタイミングがある。これらの時期に備えて、どんな株を買うべきか、考えるとよい(2020年12月18日)。

●現在の市場をどうみるか
 11月入り後、海外筋の大幅買い越しから急騰が始まっている。11月17日まで11勝1敗、その後3日下落した。通常、3日続落は上昇相場の過程ではあまりみられない。だが、24日には一気に急騰した。これで上昇相場が確認された。その後、経験的には5〜10日間ぐらい上昇して一服するのだが。実際、8日目に上げ止まり、その後もみ合いに入っている。リスクオンの地合いに変化が起きつつあるのであろうか。地合いの変化を決めるのは、いうまでもなく相場の神さまである。通常なら、ここからまた5〜10日間くらい上昇するのだが、仮に地合いが変化しつつあるとすれば、気をつけなければならない(2020年12月13日)。

●噂で買って事実で売る
 チャートのテクニカル指標は過熱信号が灯り出している。SQ(12月11日、先物オプションの清算日)にかけては需給はピークになりやすく、外国人投資家の中にはクリスマス前に利益確定に動く向きもある。ワクチン接種の開始にしても「噂で買って事実で売る」という格言が気になる。12月の第2週、第3週に思惑通りに相場が上昇するなら、そこが目先の高値ポイントになる可能性もある。そうしたシナリオも頭に入れておきたい(2020年12月6日)。

●買いのチャンスは無尽蔵、焦るべからず
 日米ともにやや上値の重さが意識されるタームに入っている。日経平均レシオは12月2日の時点で122%と、過熱ラインとされる120%を上回っており、ここは一呼吸入れた方がむしろ健全ともいえる。年末で資金の回転も速く、投げを誘う売り仕掛けの動きも観測される。気持ちを抑え無理をしない勇気も必要となる。ここはキャッシュをあつくして、買いのチャンスはいくらでもある(2020年12月4日)。

●ギャンブルと株式投資は結局金持ちが勝つ
  これは「金持ちはギャンブルや株式投資が上手」という意味ではない。「資金が続く人は結局負けないで、最後に勝ってしまう」ことを意味している。常に余裕資金を残しながら運用する投資家のほうが、投資判断する際の余地が広がり、最良の手を打ちやすくなる。したがって投資家は常に余裕資金を残しながら運用する習慣をつけることが大切である(2020年12月3日)。

●株式への投資は恐怖感との戦い
 机上の計算通りに事が運ばないのが、株式投資の現実である。思惑通りにいかなかった投資家が、ある一定以上の損失が発生した時に、「これ以上損失が膨らんだらおしまいだ」という恐怖感を持つのが普通である。その結果、「とんでもない高値で慌てて買えば、相場の天井」「とんでもない安値で慌てて売れば、相場の底値」といったことになりがちである。それを防ぎ、冷静な判断をたもつために、目一杯勝負をさけることである(2020年11月30日)。

●個人投資家は、市場平均よりも利益を出せていない
 その原因は以下の3点にある。1.ひんぱんに取引し過ぎる。「ひんぱんに取引している人ほど、利益をだせていない」といってもよい。信用取引では貸金・貸株で、現物取引では売買手数料で証券会社に利益をもっていかれている。2.損得に振り回される。人は「損失を大きく見積もり過ぎるせいで、冷静な判断が出せなくなってしまう」。3.十分に分散投資ができていない。個人投資家の多くが、あまり資産を分散していない(2020年11月29日)。

●個別銘柄では信用倍率に注目
 信用倍率が高いと需給的には上昇しづらくなり、何かしらのネガティブ材料が発生すると株価が急落する可能性がある。とくに注目しなければならないのが「制度信用倍率」で、これは半年後に期日が到来するため、必ず売却されることが決まった建玉だ。従って、信用倍率が低い銘柄を選別することで効率よく利益を狙える。ただ、株価上昇局面では信用倍率は高くなり、下落局面では信用倍率は低くなることも念頭におかなければならない(2020年11月28日)。

●わからない時はポジションをゼロに
 実際の相場は生き物なので予想外の事態に出くわすことはよくある。自分の基準外のことが起きて、戸惑うこともある。どうして良いかわからない時は、とりあえずポジションをゼロにして手じまってしまうのが一番良い。迷いがある時は儲からないことが多い。ゼロにしてしまえば、少なくとも損失が拡大することはない。次のチャンスを待てばよい(2020年11月27日)。

●この株高はおかしいか? 答えは相場に聞け
 新型コロナの感染拡大のなか、相場は29年半ぶりの高値となっている。これはおかしいと本気で思う投資家もかなりいる。いま、空売りをしている投資家が意外に多いが、相場の強さに大きくやられている人もまわりにいる。株式投資ではあらためて述べるまでもないが、良くなる会社を買う。良くなった会社ではない。そこをまちがえている人がいる。この局面では急がず、あわてず、静かに21年の出世株を仕込む作戦はどうか(29年半ぶりに2万6057円の高値をつけたことについて、2020年11月22日)。

●ショートではなくロングスタンスであれば、値動きが激しい株を買うのはまちがい。値動きが激しい株は「景気が悪くなってくると大損につながりやすい」傾向がある。目先の利益に飛びつかずに「値動きが静かで安定している会社」の株を選ぶことが肝要だ(2020年11月20日)。

●騰落レシオは120%を上回ると買われすぎ、通常、80%を下回ればマインドが冷え込んでいる状態を示す。信用評価損益率も注目される。これがマイナス20%を超えると一部で追い証が出始め、マイナス25%を上回ると総投げ状態に発展する(個人投資家の土俵:マザーズ市場の変調について、2020年11月17日)。

●押し目待ちに押し目なし
 現在、絶好調のソニーの株価を評しての言だ。ではどうすればよいか。「なかなか一服しないが、ちょい下げ、ヨコヨコとなれば拾っておきたい」(2020年11月16日)。

●株は7・5・3が大事
 私は常々「株は7・5・3が大事」という考えなので、連騰が始まったら3日で軽く警戒、5日で本気の警戒、7日となるともう手を出さず眺めているだけにする(2020年11月12日まで日経平均株価が8連騰した際)。