(この画像と説明文は『世界史地図・図解集』に収録されています)
1〜2世紀のインド洋交易(『エリュトゥラー海案内記』にみえる物産)
インドと西方とのインド洋交易は,ローマ帝国の発展に呼応して,ギリシア系商人が活動をはじめる1世紀ころからさかんになりました。
『エリュトゥラー海案内記』は1世紀にエジプトに在住したギリシア人が著した紅海・アラビア海・インド洋方面の航海・貿易の案内書です。南西季節風(ヒッパロスの風)によるローマとインドの間の航路が記されています。ギリシア・ローマ人のインド洋貿易進出を示し,貿易事情も述べられ,南海貿易の重要史料です。絹の産出地「ティナイの国」としてシナつまり中国の名が初めてみられます。
当時ローマ帝国はシナモン(肉桂),胡椒などの香辛料や絹織物などを輸入し,その対価として金貨や銀貨を支払いました。