最終更新日2026年1月14日
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地理の知識へのお誘い
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地理の学習室



使われている統計には古いものもあります。新しい統計を調べてみてください。

出てくる地名でわからないものは、かならず地図帳などで確認してみてください。




西アジアの農牧業


乾燥帯と農牧業

 北アフリカから西アジアにかけては、中緯度高圧帯が通年にわたり卓越する。冬季にこの高圧帯はわずかに南下するので、その時期に大西洋から地中海に向かって低気圧が東進する。そのため、地中海沿岸と中東は冬季降水型の地中海性気候となり、地中海式農業が行われる。
 低地では、オリーブなどの樹間地に小麦栽培地や牧草地があって、羊やヤギの牧畜が行われる。家畜は、山地に近いところでは夏季の乾燥期に山地に移動させて、いわゆる移牧が行われる。
 しかし、この地域の大部分は砂漠が占め、年降水量がほぼ200mmである。地表面は、降雨ののち短い期間わずかな雑草や低木の緑がみられるほかは、褐色の岩石や砂礫でおおわれている。
 他方、トルコのアナトリア高原から、カスピ海南岸のエルブールズ山脈、イラン高原西方のザクロス山脈などでは、年降水量が600mmを超え、一部の地域では2000mmになる。その大部分は冬季の降雪であり、高山では夏季まで消えずに残っている。この降雪がティグリス川・ユーフラテス川をはじめとする諸河川の水源となり、流域を涵養(かんよう)している。
 オアシス地域は、これらの河川から直接水を引く(ときには地下水道)か、あるいは伏流した地下水を利用して、山麓の扇状地や、涸れ川(ワジ)や、河川流域に形成され、周辺の砂漠ときわだった対照を示している。なかでも、「肥沃な三日月地帯」と呼ばれるティグリス川・ユーフラテス川の中・上流地域で、小麦・大麦・綿花・コメなどが栽培され、乾燥のきびしい地域ではナツメヤシがみられる。
 しかし、オアシス地域は全面積のわずかな部分で、ほとんどの土地は遊牧に利用される程度である。サウジアラビアでは、現在も全人口の4分の1が羊の毛で織ったテントで生活する遊牧民のベドウィンである。ここで営まれる伝統的な粗放的農牧業が、住民のおよそ半分を占める人びとの貧しい生活を支えている。

西アジアの農牧業


砂漠化

 乾燥地域では、土地があっても水がなければ農作物は育たず、生活そのものが成り立たない。砂漠の周辺では、地底に水さえ得られればナツメヤシなどの樹木が育つので、大地深くに根を張るまで水をかけて苗木は育てられる。
 しかし、現実には水の総量に限りがあり、不十分な灌漑は、土壌中の塩分を毛細管現象によって吸い上げ、地表に塩類を集積させる。そのためにナツメヤシなどの樹木が育たず、砂漠化がさらに進む。この塩害を防止するには十分な水が必要となり、少量の水はかえって土壌の塩性化を進める。
 また、人口増加に対処して収入の必要から家畜の頭数を増やせば、飼料になる草木の生長以上に家畜が若葉を食べ尽くし、いわゆる過放牧が砂漠化を進行させる。家畜の集まる水飲み場の周辺は、とくに植生が被害を受ける。その点では、砂漠には植物だけでなく動物を育てるにも限度があって、その限界を超えたときに砂漠化が進行する。
 この地域の水問題には、上・中流での無計画な灌漑のために水が消費されてしまい、下流に水が十分に行き渡らないという問題もある。ティグリス川・ユーフラテス川やヨルダン川のように上流と下流とで国が異なる国際河川の場合には、しばしば国際紛争を招くのである。


大学入試問題例

1 ティグリス川、ユーフラテス川流域一帯で行われている灌漑によって、ナツメヤシや小麦・綿花などを集約的に栽培する農業様式は( )農業である。 オアシス
2 西アジアの砂漠地帯では、比較的降水量が多い山岳地帯を水源地帯として乾燥地帯に流れ込む(1)河川や、湧き水を利用した(2)農業がみられる。 1外来 2オアシス
3 アフガニスタンの(1)と同様の地下用水路を、イランでは(2)と呼んでいる。 1カレーズ 2カナート
4 トルコの内陸部では、冬季の降水を利用して( )栽培が行われる。 小麦
5 (1)気候の広がるトルコ中央部の(2)高原では、冬の間の降水を利用した(3)の栽培が広くみられる。 1ステップ(BS) 2アナトリア 3小麦
6 地中海から( )海にかけてのトルコ沿岸部は地中海性気候であり、野菜や柑橘類の栽培が盛んである。 エーゲ(別解 マルマラ)
7 トルコの海岸部は、(1)や柑橘類・タバコを主産品とするが、(2)海沿岸は夏季にも降水量が多く、(3)のほか、茶やヘーゼルナッツなどが栽培されている。 1綿花 2黒 3トウモロコシ




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