最終更新日2026年10月20日
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大学入試日本史史料問題


−『海国兵談』と『経世秘策』−

次の史料A、Bを読み、問に答えよ(法政大 改)。

A.当世の俗習にて、異国船の入津(にゅうしん)ハ(a)に限(かぎり)たる事にて、別の浦へ船を寄(よせ)ル事ハ決して成らざる事ト思リ。実に太平に鼓腹(こふく)する人ト云ふべし。・・・海国なるゆへ何国(いづくに)の浦へも心に任(まか)せて船を寄(よせ)らるる事なれば、東国なりとて曾(かつ)て油断は致されざる事也。・・・細(こま)カに思へば江戸の日本橋より唐(から)、阿蘭陀(おらんだ)迄(まで)境なしの水路也。

B.・・・日本は海国なれば、渡海・運送・交易は、固(もと)より(b 国君)の天職最第一の国務なれば、万国へ船舶を遣りて、国用の要用たる産物、及び金銀銅を抜き取て日本へ入れ、国力を厚くすべきは海国具足の仕方なり。

問1 史料Aの(a)に入る語句を、次から選び、その記号で答えよ。
 ア 下田 イ 長崎 ウ 平戸 エ 新潟 オ 箱館
問2 史料Aは、ある人物が著した著書の一部である。この人物とこの著書の組み合わせとして正しいものを、次から選び、その記号で答えよ。
 ア 山片蟠桃−『夢の代』 イ 新井白石−『西洋紀聞』 ウ 安藤昌益−『自然真営道』
 エ 林子平−『海国兵談』 オ 桂川甫周−『北槎聞略』
問3 史料Aの著者は、この著書などによって幕府から処罰を受けた。この時期、幕府の出した出版統制令によって処罰を受けた人物を、次からすべて選び、その記号で答えよ。
 ア 大田南畝 イ 曲亭馬琴 ウ 式亭三馬 エ 恋川春町 オ 山東京伝 カ 上田秋成
問4 史料Bに関する次の文章の(1)〜(4)に入る語句として、最も適切なものを、下から選び、その記号で答えよ。
  史料Bは、(1)が1798年に著した(2)の一部である。この時期になると、封建制の維持あるいは改良を説く現実的な経世思想が活発になった。商売をいやしめる武士の偏見を批判し、藩財政の再建のためには商品経済の発展をもたらす殖産興業が必要であることを説いた(3)や、『経済要録』などを著した(4)も経世家として知られる。

 ア 海保青陵 イ 富永仲基 ウ 荻生徂徠 エ 本多利明 オ 藤田東湖 カ 佐藤信淵
 キ 『経世秘策』 ク 『農政本論』 ケ 『柳子新論』 コ 『新論』 サ 『稽古談』
問5 史料Bの(b)は、ここでは「将軍」を意味するが、具体的にだれを指すことになるのか、次から選び、その記号で答えよ。
 ア 徳川家斉 イ 徳川家茂 ウ 徳川慶喜 エ 徳川家慶 オ 徳川家定

(参考)
・荻生徂徠 8代将軍吉宗の諮問に答え、武士の帰農や貨幣経済の抑制策を説く。主著『政談』
・海保青陵 商業への偏見を批判。藩営専売制など他藩より利を取る方策(重商主義)を説く。主著『稽古談』
・本多利明 西洋諸国との積極的貿易による富国策を説く。主著『西域物語』『経世秘策』
・佐藤信淵 産業の国営化(生産物の国家専売制)と貿易の振興を主張。主著『経済要録』『農政本論』
・安藤昌益 万人が農業に従事する自然世を理想。身分制を否定。主著『自然真営道』『統道真伝』
・富永仲基 儒教・仏教を歴史的に研究し批判。主著『出定後語』
・山片蟠桃 無神論的立場から儒教・仏教を批判。地動説を主張。主著『夢の代(しろ)』
・林子平 ロシアの南下を警告し、海防論説く。しかし、幕府への批判として蟄居処分。主著『海国兵談』『三国通覧図説』
・山県大弐 江戸で尊王論を説き、幕政を批判。明和事件(1767)で死罪。主著『柳子新論』
・後期水戸学 徳川斉昭 の時代、尊王攘夷論。藤田東湖『弘道館記述義』。会沢安『新論』

答え
問1(  )問2(  )問3(  )問41(  )2(  )3(  )4(  )問5(  )


解答
問1(イ)問2(エ)問3(エオ)問41(エ)2(キ)3(ア)4(カ)問5(ア)